高血圧
高血圧について
日本では約4,300万人(男性24.1%、女性20.1%)の高血圧患者が存在し、適切にコントロールされているのはわずか1,200万人で、残りの3,100万人は適切にコントロールされていません。
高血圧は、脳心血管病発症の最大の危険因子で、降圧療法により、脳血管障害を約40%、心筋梗塞を約20%減少することが証明されています。
降圧目標を120mmHg未満と、140mmHg未満のグループにわけて経過を追ったところ、120mmHg未満のグループは脳心血管病が25%、死亡率は27%低い結果が得られ、80歳以上を対象にした研究でも150mmHg未満にすると脳血管障害の発症は34%、死亡率は21%減少したと報告されました。
高齢者の降圧目標を厳しくする科学的な根拠があると判断され、2019年に日本で高血圧治療ガイドラインが改定され、降圧目標値が引き下げられました。
降圧目標は75歳未満で130/80mmHg (家庭血圧125/75)、75歳以上 140/90 (家庭血圧135/85)となっています。
診断基準
分類 | 診察室血圧(mmHg) 収縮期血圧 拡張期血圧 |
家庭血圧(mmHg) 収縮期血圧 拡張期血圧 |
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正常血圧 | <120 and <80 | <115 and <75 |
正常高値血圧 | 120-129 and <80 | 115-124 and <75 |
高値血圧 | 130-139 and/or 80-89 | 125-134 and/or 75-84 |
I度高血圧 | 140-159 and/or 90-99 | 135-144 and/or 85-89 |
II度高血圧 | 160-179 and/or 100-109 | 145-159 and/or 90-99 |
III度高血圧 | ≧180 and/or ≧110 | ≧160 and/or ≧100 |
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140 and <90 | ≧135 and <85 |
- 仮面高血圧:自宅は高く、診察室では低い。危険度高い
- 白衣高血圧:自宅は低く、診察室では高い
高血圧の原因
遺伝・塩分摂取・肥満・糖尿病・ストレス・喫煙、他には睡眠不足・寒冷・排便時のいきみ・過剰飲酒(飲酒後血圧は低下するが飲みすぎで翌朝血圧上昇)が原因です。
その他にも、本態性高血圧や二次性高血圧:睡眠時無呼吸症候群(二次性高血圧では一番多く、重症高血圧では80%)・腎血管性高血圧・原発性アルドステロン庄(高血圧の約10%)も考えられます。
高血圧を放置すると
心筋梗塞・脳卒中・腎障害・心不全・認知症
要介護の原因疾患となる脳血管障害、認知症に関わる(約40%を占める)
高血圧の治療法
高血圧の原因は、生活習慣や病気によるものなどさまざまです。当院では初めに充実した専門的な検査を行い、高血圧の原因特定に努めております。
生活習慣
禁煙・運動・良眠・ストレスを避ける(深呼吸・合谷というつぼ:親指と人差し指の間を1日3回程度押す・急がない・慌てない・心配しすぎない)・防寒:寒い冬の朝の外出注意(寒暖差)・朝はネックウォーマーやコート・外出する30分前に着替え・首など暖めておく・帰宅後も部屋が暖まるまで着衣・夜のトイレはカーディガンやスリッパを履き、男性は便座に座って排尿で血圧上昇抑制 など。
食事療法
塩分制限(塩分摂取量目標 6g/日:しょうゆ・ソース・加工品・漬物控える・ラーメン・うどんの汁飲まない・だしや酢を用い工夫)・カリウム摂取(野菜や果物)・アルコール制限 など。
薬物療法
カルシウム拮抗剤・ARB:アンジオテンシン受容体拮抗剤・サイアザイド系利尿剤 など。