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教職員の長時間労働問題における学校産業医

[2024.04.07]

  小中学校の教職員の長時間労働は今でも問題が解決されていない。岩手県で令和4年5月~6月に行われた公立小中学校で働く教職員の勤務実態の調査で、教職員給与特措法で上限の月45時間を超えた人は約9割にのぼり、「過労死ライン」とされる80時間を超える人も4割以上いた。千葉県の公立中学、副校長・教頭の5割が過労死ラインで、小学校でも3割であったとされる。出勤から退勤までの1日の在校時間は、平均で11時間21分、2015年の調査より8分減ったのみで高止まりの状態が続いている。長時間労働のため教員になりたい人が減っているだけでなく、精神疾患を発症し退職する教職員が増え、自殺者もおり、適応障害を発症したとして大阪府を提訴したという事例もあり、教職員の勤務時間の管理、負担軽減が求められている。

安全衛生管理の取り組みの中で勤務負担軽減に関する取組で留守番電話の設置・検討、管理職による休暇取得、定期退庁等の呼びかけ、定期退庁日の設定、学校閉庁日の設定、部活動休養日の設定・検討、会議時間の短縮や時間帯の工夫、などがあげられている。健康管理に関する取組では、定期健診の受診勧奨、結果有所見者があれば精密検査・治療等受診促進を行い、各種がん検診や特定保健指導、コロナワクチン・インフルエンザ予防接種等の受診勧奨のほか、産業医による健康相談などがあり、ストレス対策に関する取組ではストレスチェックの受診勧奨および高ストレス者になった人に対する面接指導受診の呼びかけなどがあげられている。産業医は学校の教職員の健康管理を一般の企業と同様に行うことが求められ、過重労働が問題となっている職場での産業医の役割は大きい。

 岡山県教育委員会では過重労働による健康障害防止対策として、令和2年10月以降、全ての県立学校及び県立図書館等の教育機関において、日本医師会認定産業医若しくは労働安全コンサルタント等の資格を有する「産業医」を委嘱し、教職員の健康管理にあたることとし、医師会に協力要請した。産業医資格を有する「健康管理医」に「産業医」として就任してもらい、現職の「健康管理医」が産業医資格を有しない若しくは都合がつかず「産業医」に就任できない場合は、産業医の資格を有する他の医師を「産業医」として委嘱した。

 倉敷市教育委員会においても岡山県教育委員会と同様に50人以上の教職員がいる小中学校に産業医を置くことになっている。

 我々、学校産業医として責務を果たすべく研鑽や職務の遂行は必須である。

 

「医師会だより」令和4年12・1月合併号あとがきより一部抜粋

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