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自粛生活中 −コロナに思う−

[2024.04.07]

ゴールデンウイーク(GW)後半に突入とテレビ報道されるが、コロナ感染拡大に伴う政府からの要請に従い、不要不急の外出は控え、ステイホームで毎日を送っている。「医師会だより」のあとがきの執筆依頼を受け、新型コロナウイルス(コロナ)感染症の影響について振り返ってみた。

コロナの感染様式は飛沫感染、接触感染で、ヒトを介してウイルスは生き延びていく。感染は無症状の感染者からも感染し厄介なウイルスだ。昨年12月中国の武漢で始まったコロナ感染症は日本や欧州、米国から全世界に広がりWHOはパンデミック宣言を行った。国内では感染の拡大に伴い一部の地域で医療崩壊も認め、4月6日東京、大阪などの7都府県に対し緊急事態宣言を発令し、その後対象は4月16日全国に拡大した。三密(密閉、密接、密集)を避け、人との接触を8割減らし、不要不急の外出を控えるようにと自粛生活を要請し、日常生活に必須の職業以外の職種に対し休業要請がなされた。経済への影響は計り知れず世界恐慌レベルとされる。現にすでにコロナ倒産も多数報告され、事業者に対して十分な休業補償や雇用の維持などの経済支援対策は早急な対応が必要だ。

これまでにも天然痘やスペイン風邪などのパンデミックは世の中を変えてきた。この度もテレワークやオンライン会議・授業などが推進され、ネット通販、宅配、テイクアウトの利用が増加している。コロナによって医療現場も一定の変革を求められ、オンライン診療、学会講演などのオンライン配信などがコロナ危機をきっかけに弾みがつくであろう。自院においても院内感染を心配し受診を控えられる患者は多く、時限的に可能となった電話での診療を再診患者のみならず初診患者においても行った。また院内感染対策としてサージカルマスクの装着や手洗いの徹底が求められ、サージカルマスクやアルコール消毒液は診療には必須となったが、入手困難なため非常に苦労した。接触感染対策のための次亜塩素酸系消毒液は市販の「ハイター」を水で0.05%に薄め使用した。発熱やかぜ症状のある方は定期患者との導線を分けるため、院内には直接入らずインターフォンでスタッフとやりとりし、車中で待機後、車での診察を行うこともあった。上部消化管内視鏡検査は日本消化器内視鏡学会からの「緊急事態宣言が全国に拡大された現在、その期間中はローリスクでも緊急以外の内視鏡診療の延期・中止を強く勧めます」という提言に従い、内視鏡検査はこの期間行っていない。産業医の立場としては厚生労働省からの「企業に対して厚生労働局からの感染拡大防止に向けた職場における対応について」の指導を企業に対して行った。

自粛生活に伴う問題点として運動不足による持病の悪化、精神的不調 (自粛疲れやストレス)、それに伴う家庭内不和、DV、虐待、アルコール依存、ネット依存、ゲーム依存、医療関係者などに対する差別などの問題、さらに高齢者においてはフレイル、認知機能低下などがあげられる。こういった問題にも目を向ける必要がある。自身も自粛生活で自由な行動を制限されるストレスはある。コロナは自然的逆境と考えいつかは必ず終息し夜明けが来る、なんとか乗り切っていこうと自分に言いきかせている。規則正しい生活、十分な睡眠には留意し、新しいことにチャレンジ、散歩、新聞読み、読書、音楽、パズル、花の鑑賞などを行ったり、ネットで動画、音楽、映画を楽しむことができる。腹式呼吸や筋弛緩法も精神安定には有効だ。自分はいつになく玄関先にある植木鉢に咲いた綺麗な花をみては心穏やかになっている。

休業を余儀なくされた飲食店や小売業者などのことを思うと以前のような平常な生活が一刻も早く取り戻されることを願うばかりである。

倉敷医師会だより 令和2年7月号あとがき 一部抜粋

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